遠位脛腓骨粉砕骨折術後理学療法の一考察 | 脛骨腓骨骨折荷重
近畿理学療法学術大会資料トップ巻号一覧この資料についてJ-STAGEトップ/近畿理学療法学術大会/第49回近畿理学療法学術大会/書誌第49回近畿理学療法学術大会セッションID:12DOIhttps://doi.org/10.14902/kinkipt.2009.0.12.0会議情報主催:(社)日本理学療法士協会近畿ブロック遠位脛腓骨粉砕骨折術後理学療法の一考察荷重時痛から足部アライメントに注目し、改善した一症例*平尾聡, 鈴木智洋, 藤井奈穂子, 矢田純也, 安達信宏, 坂元晃典, 竹内嘉代, 吉井さやか, 林秀一, 青木雄介著者情報*平尾聡洛西ニュータウン病院鈴木智洋洛西ニュータウン病院藤井奈穂子洛西ニュータウン病院矢田純也洛西ニュータウン病院安達信宏洛西ニュータウン病院坂元晃典洛西ニュータウン病院竹内嘉代洛西ニュータウン病院吉井さやか洛西ニュータウン病院林秀一洛西ニュータウン病院青木雄介洛西ニュータウン病院キーワード:距骨下関節,偏平足,インソール会議録・要旨集フリー詳細発行日:2009年受付日:-J-STAGE公開日:2009/09/11受理日:-早期公開日:-改訂日:-メタデータをダウンロードRIS形式(EndNote、ReferenceManager、ProCite、RefWorksとの互換性あり)BIBTEX形式(BibDesk、LaTeXとの互換性あり)テキストメタデータのダウンロード方法発行機関連絡先記事の概要抄録著者関連情報共有する 抄録【はじめに】 遠位脛腓骨骨折は骨癒合が遅く偽関節を形成しやすいとされる骨折の一つである。
今回、足部アライメントに注目し、インソール挿入により荷重時における筋再学習を目的にアプローチを行った。
その結果、疼痛なく独歩自立を獲得することが出来たので考察を加えて報告する。
【症例紹介】61歳女性。
平成20年12月7日受傷。
右脛腓骨粉砕骨折と診断され、同年12月10日観血的骨接合術(ORIF)施行。
翌日より理学療法(以下PT)開始。
【画像所見】正面天蓋角が94°(健側90°)であり、患側は腓骨距骨間の狭小が認められる。
【理学療法経過】 PT開始翌日よりギプス除去し、足関節関節可動域訓練を開始した。
平成21年1月9日足関節背屈・底屈角度他動にて全可動域獲得。
術後6週免荷後右下肢1/3荷重開始。
両松葉杖歩行にて疼痛出現することなく歩行可能。
その後1週間ずつ1/2、2/3、と荷重量を増加し平成21年2月16日全荷重となった。
しかし、2/3荷重時より立脚中期から後期にかけて外果後方に疼痛出現し、さらに全荷重になると内果後方、距腿関節前面にも疼痛出現した。
全荷重開始時(術後74日)の歩行では立脚中期から立脚後期にかけて患側前足部ロッカーが消失し患側立脚時間が短縮した。
荷重時患側足部は扁平足を呈しており、右踵接地時に右骨盤の下制、右肩甲帯下制が出現した。
平成21年2月20日片松葉杖歩行にて退院となり、その後外来通院にてPT継続となった。
【考察】 本症例の疼痛出現原因として1)右足尖離地時に距骨下関節回外位から長腓骨筋の作用困難であること、2)右立脚中期に扁平足によって足部回内位となり、下腿外側傾斜が増大すること、の2つに注目した。
立脚後期に長腓骨筋は内側前足部を固定し、立方骨の挙上・横足根関節の固定作用が起こる。
しかし、右足部が扁平足であること、また、触診により右距骨下関節回外の動きが健側より低下していたことから、右距骨下関節の十分な回外が起こらず長腓骨筋作用が困難となり、腱部に疼痛が出現したものと考えた。
立脚中期に後脛骨筋、前脛骨筋は下腿外側傾斜を制動する。
しかし、扁平足であるために右足部は回内位を呈し、下腿は外側傾斜が増大する。
これの制御のために前脛骨筋、後脛骨筋は過剰な遠心性収縮を要するため疼痛が出現したと考えた。
日常歩行時に踵部内側から内側縦アーチへのインソールを作成した。
その目的は、1)立脚後期に踵骨回外を伴わせること、2)足底外側から足底内側への重心移動時に内側前足部固定力を増大させること、3)立脚中期の下腿外側傾斜を減少させること、である。
これによって足底面での正しい重心移動を促し、筋再学習に努めた。
これにより(術後87日)立脚中期から立脚後期に十分な踵離地が出現し、右立脚
今回、足部アライメントに注目し、インソール挿入により荷重時における筋再学習を目的にアプローチを行った。
その結果、疼痛なく独歩自立を獲得することが出来たので考察を加えて報告する。
【症例紹介】61歳女性。
平成20年12月7日受傷。
右脛腓骨粉砕骨折と診断され、同年12月10日観血的骨接合術(ORIF)施行。
翌日より理学療法(以下PT)開始。
【画像所見】正面天蓋角が94°(健側90°)であり、患側は腓骨距骨間の狭小が認められる。
【理学療法経過】 PT開始翌日よりギプス除去し、足関節関節可動域訓練を開始した。
平成21年1月9日足関節背屈・底屈角度他動にて全可動域獲得。
術後6週免荷後右下肢1/3荷重開始。
両松葉杖歩行にて疼痛出現することなく歩行可能。
その後1週間ずつ1/2、2/3、と荷重量を増加し平成21年2月16日全荷重となった。
しかし、2/3荷重時より立脚中期から後期にかけて外果後方に疼痛出現し、さらに全荷重になると内果後方、距腿関節前面にも疼痛出現した。
全荷重開始時(術後74日)の歩行では立脚中期から立脚後期にかけて患側前足部ロッカーが消失し患側立脚時間が短縮した。
荷重時患側足部は扁平足を呈しており、右踵接地時に右骨盤の下制、右肩甲帯下制が出現した。
平成21年2月20日片松葉杖歩行にて退院となり、その後外来通院にてPT継続となった。
【考察】 本症例の疼痛出現原因として1)右足尖離地時に距骨下関節回外位から長腓骨筋の作用困難であること、2)右立脚中期に扁平足によって足部回内位となり、下腿外側傾斜が増大すること、の2つに注目した。
立脚後期に長腓骨筋は内側前足部を固定し、立方骨の挙上・横足根関節の固定作用が起こる。
しかし、右足部が扁平足であること、また、触診により右距骨下関節回外の動きが健側より低下していたことから、右距骨下関節の十分な回外が起こらず長腓骨筋作用が困難となり、腱部に疼痛が出現したものと考えた。
立脚中期に後脛骨筋、前脛骨筋は下腿外側傾斜を制動する。
しかし、扁平足であるために右足部は回内位を呈し、下腿は外側傾斜が増大する。
これの制御のために前脛骨筋、後脛骨筋は過剰な遠心性収縮を要するため疼痛が出現したと考えた。
日常歩行時に踵部内側から内側縦アーチへのインソールを作成した。
その目的は、1)立脚後期に踵骨回外を伴わせること、2)足底外側から足底内側への重心移動時に内側前足部固定力を増大させること、3)立脚中期の下腿外側傾斜を減少させること、である。
これによって足底面での正しい重心移動を促し、筋再学習に努めた。
これにより(術後87日)立脚中期から立脚後期に十分な踵離地が出現し、右立脚